放射線と生活 2011 10 23
書名 週刊新潮 10月27日号
今日は、週刊誌から興味深い記事を取り上げましょう。
これは、続報として、あまり報道されなかったことを週刊誌が取り上げたものです。
(以下、引用)
年間30ミリシーベルトを50年浴びた女性は、
ガンになったか!
夜光塗料が原因だった世田谷の「ホットスポット」大騒動!
東京がこうも汚染されていたか、
と社会不安を煽った世田谷のホットスポット騒動。
民家の床下に放射性ラジウムが見つかり、
ひとまず一件落着したが、
長年多量の被爆をしていた住民はどうなるのか。
そう心配すれども、健康被害は報告されていないのである。
東京都世田谷区の閑静な住宅街に、
高さが10メートルは軽く超えそうな樹木が生い茂った一角がある。
その周囲が区の発表を境に、
にわかに騒然としたのは、10月12日のこと。
この家の塀沿いの歩道で、
区が安全の目安としている数値の10倍以上に相当する
毎時2.7マイクロシーベルトが計測され、
区は緊急措置として周囲を立ち入り禁止にしたのである。
読者諸氏は、(相次ぐ報道で)この騒動の火元が、
床下に置かれていたラジウム入りの瓶だったと、すでにご存知だから、
住民(母親たち)の心配を取り越し苦労だったと思われるかもしれない。
この地域の住民は、今なお不安を隠さないが、
もっと深刻なのは、その家の住人だろう。
先ごろまで、この家に90歳を超える女性が住んでいた。
縁の下から猛烈な数値が出るが、
最終的には文部科学省の精密な測定器で、
毎時600マイクロシーベルトという数値だと判明したという。
それは木箱に入った数十本の細い瓶で、
かつて夜光塗料などに使われた白い粉状の放射性物質、
ラジウム226が入っていた。
(福島原子力発電所の事故で)年間1ミリシーベルトを超える被爆が、
問題になっているときに、
床板や畳で遮蔽されているとはいえ、
毎時600マイクロシーベルト(0.6ミリシーベルト)、
年に換算して約5000ミリシーベルト(5シーベルト)もの放射線が計測されたのだから、
ただごとではない。
この家に住んでいた92歳の女性は、
今年の2月から老人介護施設に入居しているが、
これといって病気をしたわけではなく、
風邪をひく程度だったという。
(中略)
肺ガンおよび呼吸器外科が専門の医師は、
「私は、医療現場で年間1500ミリシーベルトは放射線を浴びていますが、
元気にやっています」という。
(以上、引用)
放射性物質は、日常生活で、いろいろなところで利用されています。
たとえば、心臓のペースメーカーを思い出します。
今は、リチウム電池の性能がよくなったので、使われなくなりましたが、
昔は、欧米で原子力電池が使われていたと思います。
あれは、プルトニウム原子力電池だったと思います。
私は、過度に放射線に神経質になると困ると考えています。
過度に神経質になってしまうと、宇宙開発が進まなくなる可能性があります。
宇宙に出れば、放射線は膨大な量になります。
これからの時代は、宇宙開発は、民間企業が推進していくべきです。
つまり、普通の人が積極的に宇宙へ出て行く時代が来ると思います。
その時、放射線恐怖症では困るのです。
Sv mSv μSv 2011 3 27
1Sv = 1,000mSv = 1,000,000μSv
(Svはシーベルト mSvはミリシーベルト μSvはマイクロシーベルト)
放射線は、目に見ないので、
日本だけでなく、世界各国においても、不安は募るでしょうが、
これは、感覚で判断するのではなく、数字で判断すべきです。
昨日(3月26日)の東京における環境放射能水準調査では、
約0.12μSv/hでした。
この数字からわかることは、そんなに神経質になる必要はないということです。
ちなみに、タバコを吸うと、被曝します。
どのくらいの放射線量かについては、諸説ありますが、
ウィキペディアによれば、
1日1.5箱のタバコを吸う人の年間の線量は、13mSvから60mSvです。
(タバコの葉に含まれる、ラジウム226、鉛210、ポロニウム210などからの放射線)
タバコを吸う人は、現在の日本の放射線量について、
とやかく言う資格はないかもしれません。
周囲の人に放射線をばら撒かないように、早めに禁煙した方がよいでしょう。
放射線量 2011 3 27
書名 最新 ヒトの遺伝の基本と仕組み
著者 賀藤 一示ほか 秀和システム
この本は、数年前にも紹介しましたが、
放射線量についても記述がありますので、
もう一度、取り上げます。
153ページ「自然放射線は浴びても大丈夫?」から
「急性放射線障害が発生する線量」
途中、省略
3Sv 発熱・感染・出血・脱毛・子宮が不妊になる
2Sv 倦怠・疲労感、白血球数低下、睾丸が不妊になる
1Sv 吐き気などの「放射線病」
250mSv 胎児の奇形発生(妊娠14日〜18日)
〜20mSv これ以下の被爆では放射線障害の臨床的知見はない
「低線量放射線」
50mSv 原子力施設で働く人たちへの規準(年間)
10mSv ガラパリ(ブラジル)の人が年間に受ける自然の放射線量
0.6mSv 1回の胃のX線診断で受ける量
「自然放射線」
4.4mSv (医療検診も含めて)日本人が1年間に受ける平均の放射線量
2.4mSv 日本人が1年間に自然から受ける平均の放射線量
1.0mSv 原子力施設の公衆への規準(年間)
0.2mSv 成田・ニューヨーク間の片道飛行で宇宙線から浴びる量
(注意)
ここで注意が必要なことは、理科が苦手な人は、
数値や単位を読まないで、文章だけ読んでパニックになってしまうことです。
(これが理科が苦手となる原因です)
1Sv=1000mSv Sv(シーベルト) mSv(ミリシーベルト)
さて、私たち人類は、太古の昔から放射線をかいくぐって生き延びてきました。
そのため、人類のDNAには、損傷を前提とした修復機構が備わっています。
それは、この本の中で「DNAの損傷は、ほとんどが元に戻される」に詳しく書いてあります。
また、放射線や紫外線を大量に浴びてDNAが大きく損傷した場合についても、
細胞には、緊急避難的な機構が備わっています。
「人類の歴史は、放射線とともにある」と言っても過言ではないでしょう。